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斜面はアイスバーンと化し、人を軽々と吹き飛ばすほどの烈風吹き荒れる冬の富士山。その頂にある富士山測候所で生活する人々のために、30キロの荷物を背負い、21年間、400回以上、厳寒の富士を登り続けた富士山最後の強力、並木宗二郎。長女が全盲になるという難病と夫婦一緒に闘い、それに疲れ果てた妻が入院、そして自殺…。幼い三人の子供を男手一つで育てながら、危険と隣り合わせの厳冬の富士山で闘い続けた並木宗二郎の生涯を、ノンフィクション作家・井ノ部康之が描く。
第1章 さらば富士よ第2章 富士の見えない町第3章 はじめての富士登山第4章 九合目の恋第5章 長女の発病第6章 山麓の墓標第7章 フジアザミの飛翔第8章 妻は山頂に至らず第9章 子供たちとの絆第10章 霧の中の遭難者第11章 五百メートルの滑落第12章 わが骨は富士に埋めるな