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金を奪われるか、借金を踏み倒された人物が死後、加害者の子供に転生し、重い病気になったり放蕩したりして、今度は逆に親の金を浪費する。その金額は盗んだ金や借金の額と同じであり、子供は取り立てが終わると親の心に深い傷だけを残して去っていく…。討債鬼故事は中国において千数百年にわたり語り継がれてきた怪談である。本書は、この辛口の物語がどのように生まれ、展開していったのかを通時的広域的に追求し、その宗教思想的背景をも描いた独創的な研究成果。中国人社会の家族観・経済観・生命観・運命観を考える上でも多くの有益な知見を提供してくれる。文学研究のみならず、思想・歴史・民俗研究にとっても貴重な示唆に富む一書である。
第1部 討債鬼故事の成立まで(仏典および六朝・唐代小説における輪廻と復讐転生して復讐する者たち1―『日本霊異記』中巻第三十縁の背景転生して復讐する者たち2―「党氏女」の周辺金額一致表現から見た畜類償債譚)第2部 討債鬼故事の変容(冤家債主との葛藤―王梵志詩「怨家〓人賊」の解釈について雑劇「崔府君断冤家債主」―父親の救済雑劇「看銭奴買冤家債主」―息子の正体)第3部 討債鬼故事と日本(落語「もう半分」に見る討債鬼故事の受容と変容もしも子供から「お前は前世で私を殺した」と言われたら―討債鬼故事の日中比較)補論 偽経『仏頂心陀羅尼経』の成立と版行・石刻活動