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一九五四年十月三十日の夜。一人の中国人女性が羽田空港に降り立った。当時の日本にとって、数万人の残留邦人の引き揚げは急務。一方、建国したばかりの中国は、西側諸国との関係を築くための突破口を探していた。まだ日中に国交がない時代、綱渡りの外交の主人公を務めたのが女傑、李徳全だった。その滞在中の言動は行く先々で熱狂と波紋を呼び、両国間に奇跡が―戦後史の中に埋もれていた秘話を丹念に掘り起こす。
第1章 日本人の引き揚げと赤十字(六六二万人の引き揚げ不安定だった新中国 ほか)第2章 冷戦下の日中のかけひき(サンフランシスコ講和条約トロント会議でもつれないまま ほか)第3章 手渡された「戦犯名簿」(「日本の土さえ踏めば、すなわち勝利」羽田に到着した先発隊 ほか)第4章 一四日間の滞在が残したもの(北京からの援護射撃吉田茂の外遊 ほか)