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指紋法が使用される背景には、共通して、放浪生活を営む人びと、偽名を使って移動を繰り返す犯罪者、国境を越えて往来する移民がいた。指紋法は移動する人びとを、国家や植民地統治者が把握・管理可能な状態に置くための統治の技法だった。なぜ指先の紋様なのか。近代的統治の課題とは何だったのか。イギリス帝国から日本帝国、さらにグローバル化時代へと続く、生体認証技術の歴史的変遷を描く。
序章 指紋をめぐる問い第1章 「指紋法」誕生の軌跡―イギリス帝国のネットワークと移動する身体という「課題」第2章 指紋法の伝播―イギリス帝国から日本帝国へ第3章 満洲国の理想と現実―建国当初の指紋登録をめぐる動き第4章 労働者指紋登録の開始―労働者移動と格闘する時代へ第5章 労働者管理から国民登録へ―国民手帳法という結末の意味第6章 警察制度改革と拡大する指紋―警察指紋・国民指紋法・県民指紋登録第7章 戦後日本の再編と指紋―戸籍法・住民登録法・外国人登録法終章 生体認証技術の現在を考えるために